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工芸品紹介

「九谷焼とは」をざっくりと紹介

概要

 主に、日本の北陸地方、石川県の金沢市・小松市・加賀市・能美市で生産されています。

800℃程の低火度で絵を焼き付ける色絵の技術が特に有名。

そこに生まれる鮮やかな色彩は江戸時代から人々を魅了してきました。

歴史は古く、江戸時代の初期に加賀百万石で有名な前田利家の孫である初代大聖寺藩主前田利治が、藩士で鋳金師の後藤才次郎に命じて焼物を焼かせたのが、九谷焼の始まりとして有名な「古九谷」の始まりです。

古九谷の窯は50年程で閉窯され、100年後の江戸時代後期に再興九谷として復活し、戦争やバブルを超えて、繁栄と衰退を繰り返しながらも、現代に生き残り、さらなる進化を続けています。

技法は多種多様で、古典にならったものから斬新なものまで様々な九谷焼があります。

その技法の一部を紹介することで、ざっくりとこういうものがあるのだと、九谷焼を知る入口となれればと思います。

技法

五彩

五彩は九谷焼で最も有名な技法です。

緑・黄・紫・紺青・赤の色絵具を使う上絵の技法。

古九谷以来の様式であり、花鳥風月や山水図を主なモチーフとします。

また、あえて余白を作る日本画的な構図を用いることも特徴です。

色絵花鳥図鉢 古九谷 17世紀 能美市九谷焼美術館蔵 CC BY 4.0

青手

緑・黄・紫の三彩、または紺青を加えた四彩で鮮やかに加飾する技法。

五彩と違い、ほとんど余白を作らず、器全体を塗り埋めていく。

器全体を濃密に彩色した九谷焼の特徴的な技法。

吉田屋窯、松山窯の作品が有名です。

青手芭蕉図鉢 古九谷 17世紀 能美市九谷焼美術館蔵 CC BY 4.0

赤絵(金襴手・細描)

赤の色絵具を使い、器に細かい描き込みをする技法です。

主に、金襴手と赤絵細描が有名。

金襴手は、主に赤の色絵具で塗埋めた器に金色のみを用いて彩色する技法で、

絢爛豪華な加飾です。

幕末に京都の名工・永楽和全が九谷焼に伝えたところから始まります。

赤絵細描はベンガラを用いた絵具で細描きを多用する技法。

その緻密さは、基本は赤のみを用いられていますが圧巻です。

現代では福島武山氏が有名です。

赤絵福寿字入大深鉢 宮本窯 江戸末期 能美市九谷焼美術館蔵 CC BY 4.0
金襴手鳳凰文鉢 12代永楽和全 1823年~1896年 能美市九谷焼美術館蔵 CC BY 4.0

釉彩

釉薬の濃淡と対比による表現技法。

特徴は、絵具ではなく釉薬を使っていることと、伝統的な九谷焼の様式とは違い、絵付けはなく、色のみを使った表現であること。

三代徳田八十吉が重要無形文化財「彩釉磁器」保持者として有名です。

博峰窯 湯呑 釉彩

釉裏銀彩

貼り合わせた銀箔に釉薬をかけて焼き上げる、中田一於が確立した技法。

銀は錆びることで黒ずみますが、釉薬によってカバーされているため酸化せず、

半永久的に銀の美しさを保つことが出来ます。

花詰

花柄を敷き詰めるように描く技法。

まず、花の色を器に塗り分けて焼き上げた後に、金で花の輪郭を描いていく。

水田四郎が始めた、非常に華やかな技法です。

おわりに

九谷焼の技法をいくつか紹介いたしましたが、ざっくりとでも「九谷焼とはどんなものか」伝わりましたでしょうか?

本当にこれらは一部で、まだまだ特徴的な技法や作品が多くあります。

歴史の波に揺られながらも、今も続いている、その力強さ、多彩な作風と技法が九谷焼の大きな特徴だと言えます。

これからも伝統を受け継ぐと同時に、新しいアイデアや表現をプラスしていく九谷焼は、我々の目を楽しませ、心を豊かにしてくれることでしょう。

一体この先どのような九谷焼が現れてくるのか,それがとても楽しみです。

色彩豊かで奥深い九谷焼の世界を一度覗いてみませんか。

虚空蔵窯トルコブルーのマグ
かわいい福良雀ぐい呑み
織窯のぐい呑み、暮れていく空のイメージ

九谷焼の特徴は上絵付けが代表的ですが、型も色々です。

あえて絵付けをしていないものもあり、表現の幅が広いです。

遊水堂ショップにも九谷焼あります。

よかったら見てみてください。

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